あらゆるオンライン行動のなかでもっとも幸せなとき。それは欲しいものを注文した瞬間かもしれない。Rokt(ロクト)は、ユーザーの気分が高揚し受容性が高まっている購入の瞬間(トランザクションモーメント)にネットワークを作り、広告を届ける仕組みを構築している。

そんなトランザクションモーメントに特化した同社のソリューションによって、食品のサブスクリプションサービスを提供するオイシックス・ラ・大地株式会社が展開する「Oisix」は、どのように課題を解決し、新規顧客の獲得につなげたのか。

Roktで国内の広告事業を統括する大野皓平氏と、OisixEC事業本部 プロモーション室 副室長の菅原嵩氏が12月の「DIGIDAY BRAND LEADERS 2025」に登壇。両名によるセッション「購入の瞬間にチャンス オイシックス×Roktが描く AI時代の顧客獲得」の模様をレポートする。

※この記事はDigidayの記事を転載・編集しています。

クリエイティブから開始した、オイシックスのAI活用

日本全国に約36万人の会員を有し、食品の定期宅配サービスを提供するオイシックス。主力商品は、主菜と副菜の2品が20分で作れるミールキット「Kit Oisix」で、毎週20種類以上の商品を展開している。加えて、TVドラマやキャラクターなどとのコラボメニューも多く、商品ごとに異なる魅力をいかに視覚的に伝えるかが、マーケティングにおける重要なポイントとなっている。

そんなオイシックスでは、まずはクリエイティブ制作の場面でAIを導入した。自社スタジオで撮影した動画や画像は、よりおいしそうに見せるため、湯気を立たせたり、箸で持ち上げたりといったシズル加工が施される。その作業に以前は5〜6時間かかっていたところ、Kling AI(クリングAI)の画像生成AIツールを使うと20〜30分で完了するため、時間とコストを削減することに成功した。

また、たとえば天候などの影響でほうれん草が入手できなくなり、急遽、小松菜に変更になった場合も、料理の完成イメージ画像内の具材入れ替えも、Photoshop内のAI機能を使えば簡単にできる。リアルタイムにクリエイティブを更新することで、後日カスタマーサポートに「実際に入っている野菜が違う!」とクレームが届くようなことがなくなり、トラブルを事前に回避することにもつながっているという。

AIを駆使してCPAを落とし、CV数を最大化したい

先にクリエイティブでAI活用を始めたオイシックスだが、マーケティング活動、とりわけ集客の面では、その効果を十分活かせていない点を菅原氏は課題として捉えていたという。

オイシックス・ラ・大地 OisixEC事業本部 プロモーション室 副室長の菅原嵩氏

オイシックスでは、最初にお得な「おためしセット」を購入してもらい、実際に作って食べる体験をしたうえで入会につなげるという2ステップのマーケティング戦略をとっている。初回利用客数を増やすため、これまでGoogleやメタをはじめとしたさまざまなプラットフォームや媒体に出稿してきたが、広告予算を拡大すればするほど競合も増え、CPAが上がってしまう。

加えて、ポストCookie時代に向けた対策にも課題が残る状態で、「AIを駆使することでCPAを落とし、CV数を最大化する新しいチャネルはないか」と菅原氏は頭を悩ませていたという。

75億件のトランザクションを学習したAIが導く最適解

その解決法として採用されたのが、Roktのソリューションだった。ECサイトで購入・予約を完了した瞬間に、それぞれの人に合う内容の広告を届ける仕組み。パートナーECサイト上で発生する年間約75億件のトランザクションをグローバルで最適化しており、日本ではリテールやフードデリバリー、チケット、エンターテインメント領域を代表する大手ECサービスのトランザクションモーメントをネットワーク化し、購入・予約が完了した瞬間に第三者広告主の魅力的なオファーを届けている。

なぜ「購入の瞬間」が大事で、そこにはどんなバリューがあるのか。大野氏は重要ポイントを次の3つに絞って説明した。

Roktで国内広告事業を統括する大野皓平氏

「まず、調査によると、欲しかったものを注文した瞬間は86%もの人が幸せを感じ、受容性が高くなっている。次に、買い物モードのユーザーは集中しているので、CTRが5%と非常に高い。そして3つ目は、購入の瞬間にはリアルタイムに把握できる良質なファーストパーティデータが豊富に存在するので、データの活用価値自体がとても高いのです」。

そうした価値あるデータとAIによる最適化を組み合わせれば、一人ひとりのユーザーにぴったり合うオファーを効率的に届けられるという。

RoktのAIブレインは、一人ひとりの状況や関心に応じて最適なオファーを届ける

ファーストパーティデータを活用したCV最適化で獲得効率15%アップ

このRoktのソリューションを1年以上にわたって継続活用してきたオイシックスは、KPIに設定した獲得数、CPAをともに達成。また、信頼性の高い特定のECサイトにのみ広告を掲載することから、安心安全にこだわるオイシックスにとって欠かせないブランドセーフティの観点でも要件を満たした。

加えて、購入の瞬間は、きちんと本人同意を得たうえでファーストパーティデータを活用できる機会でもあり、菅原氏が当初課題としていた「ポストCookie時代に向けた対策」を含めた包括的なマーケティング活動につながっている。

Rokt Adsを通じて表示されるOisixのオファーの例

AIによる最適化は、学習に使えるデータの質で成果が決まる。オイシックスのケースでは、メールアドレス情報をRoktと連携したことでAIの学習が進み、短期間で獲得効率の改善が実現した。

「メールアドレスにひもづいた精度の高いコンバージョンデータを活用することでAIの学習が進み、施策開始から4週目には獲得数が15%以上改善した。さらに、このルートで入会した人はLTVが高いという結果も出ている」と菅原氏はいう。

今回の取り組みに満足しつつも、購入の瞬間を捉えたデータ活用にさらなる期待を寄せる菅原氏。大野氏は、「AI時代のマーケティングにおいては、リアルタイムに活用できる良質なデータを持っていることが重要」で、「購入の瞬間は、同意を得た形でファーストパーティデータを活用できる絶好のタイミング」であることを改めて強調。

さらに、そうしたデータをAIによってリアルタイムにフィードバックし、自動調整することでシステムは使うほどに高精度になっていく。「計測・学習・最適化を分断せず、一気通貫で循環させるクローズドループメジャメントを継続的に実行することが、最適化・効率化のヒントになる」と述べた。

一口に「マーケティングにおけるAI活用」と言っても、その方法にはさまざまな切り口が考えられる。大野氏は広告代理店にいた自身の経験から、「マーケターの業務すべてがAIに置き換わることはすぐに起きない」としながらも、「WHO、WHAT、WHEN、WHEREのどこをAIに任せ、どこをマーケターがやるべきかを見極め、効率化を進めながらパフォーマンスを出していく。それが、いま求められるマーケティングのAI活用ではないか」と語った。

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